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ハウスメーカー?工務店?設計事務所?

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最近よく、

「ハウスメーカーの住宅か工務店か、設計事務所かで建てる場合と迷っています。」

との相談を受けます。

端的に言って、どちらが良いということはありませんが、それぞれに特徴があるため、よく理解して上で自分たちに適した住宅の作り方を選択することが良いと思います。

そこで今日は住宅の作り方の種類とその特徴について順番に説明しますので、自分たちに適した家づくりの参考にしてください。

住宅を手に入れる選択肢としては、主に下の4つが考えられます。

  1. 建売住宅
  2. 住宅メーカー
  3. 地元工務店
  4. 設計事務所


①建売(売建)住宅を買う。

建売事業者が用地や建材を低コストで調達し、組み立てるためコストパフォーマンスは高い。

ただ、コストありきで建築されるため、使用材料が限られ逆にそれ以上でもありません。
「売り建て住宅」と言って買主の意見を取り入れて建築することも場合もありますが、基本的には同じ仕様による構成になるため個性は出ず、バリエーションが選択できる程度と考えた方が良いでしょう。
ただ、まだ土地を持っていない方にとっては、立地が気に入れば、それが魅力になり、効率よく土地・家を手に入れる選択肢となります。

②住宅メーカーで建てる
多くの住宅メーカでは自社のオリジナル建材により住宅を組み立てます。すなわち、「メーカーの家」という商品であり、それらの製品はメーカーのルールの中で大量生産されているため、消費者にとっては低コストで品質も安定したものが手に入ります。
よく「メーカー住宅は安心」といわれますが、「メーカーはリスクを伴う工事は引き受けない」のだと考えた方がほうが良いでしょう。

メーカー住宅は大手企業がつくるため、モデルハウス、CM、営業マンなどの経費率が非常に高く、原価率が半分以下になっていることがほとんどです。

現場での労務、引き渡し後のクレームなどを最小限にする必要があるため、住宅メーカーでは安心な商品を提供し、リスクを伴う工事は請け負うことをなるべく避けます。

とくに、住宅はクレーム産業ですから、万が一クレームになるような試みは絶対にしたくないわけです。そのため、メーカー独自のルールが詳細に決められており、基本的にはその範囲でしか工事を請け負わない、と考えた方が良いでしょう。

よく「メーカー住宅でも何でも希望通りのことができるらしい」と相談に来られた方に聞いたりますが、我々が普段から提案している細やかな仕様、例えば、数センチ単位のサイズを決めたり、斜めや曲面を自由に用いたり、階高を少し上げたり、コーナーや連続する大開口を設けたり、袖壁や垂れ壁なしで構成したり・・・・といったことはほとんど対応できません。

あくまで自社のルールの範囲にある工法、商品構成により品質や性能が確認されたものからの選択のみになります。
それでも、仮にルール以外の仕様をお願いする場合には、そのリスクや経費などから割高になり、非常に高い買い物をすることを覚悟しておいた方が良いでしょう。

メーカーの中にも一級建築士はたくさん居ますが、あくまで自分たちの商品知識としての設計経験のみです。
また、工事現場においてもそのルール内の組み立て作業のような工事しかないため、特別な技術的な知識や技能は期待できません。

従って、メーカーで建築する場合には、あくまでもメーカーの商品構成の範囲のみで構成することが賢明であり、その範囲で満足できるようであれば、品質的には安心な「住宅という商品」と言えるでしょう。

③工務店の設計施工
長らく地元で信頼を得ている技術やクレーム対応、親切さなどの安心感があります。
ただ、設計やデザインに関しては専業でないため、その知識や能力には限度があります。
建築にとっては技術ばかりでなく、設計力やデザインなどにより、同じ材料を使っても使用方法や工法の違いにより、より経済的に性能の良いものを作ることができます。
従って、重要な案件に関しては工務店から設計事務所に再依頼されるケースも少なくありません。

また、建築には定価がないため、いくら値引きをしてもらっても、企業ですから必ずその価格には利益を含んでいます。なにが妥当な価格なのか判断することは難しくなります。

本来、メーカーや工務店の設計施工のように設計者と施工者が同一では利害が重なるため、適正な監理、査定、検査などの業務がなされないかもしれないというリスクがあります。

④設計事務所に依頼する

「欠陥のない商品としての家」を販売する住宅メーカー選びに対し、設計事務所は「自分たちの家」を一緒に作るパートナー選びと考えた方が良いでしょう。

設計事務所では単に家の機能を満足させるというよりも、周辺環境などを考慮しながら最も適切と判断される生活を考え、それを実現するのに難しい問題があれば、それを解決するための手段をその都度検討します。

従って、計画やデザイン、構造計算や技術の検討に相当の時間や労力を要します。

よく「設計事務所では品質にバラツキがある」ような心配をされる方もいますが、品質的には、住宅メーカーのような既製品の建築商品(窓やサッシ、屋根、建具など)のみで建築すれば、設計事務所や工務店の工事もメーカー住宅と同等またはそれ以上の品質を得ることは、なんら難しくありません。

もちろん、一品生産的に、新しい試みをする場合には相応のリスクも伴うため、十分な能力を持つ建築家をパートナーとして選ぶ必要があります。

自分達の考え方を理解してくれる良いパートナーに出会うことで、欠点のないだけの家づくりではなく、自分らしいオリジナルの家づくり、永く愛着の持てる家づくりが実現できるでしょう。

ちなみに、設計事務所に頼むと設計料が余分に必要と感じられる方も多いのですが、工務店でもメーカーでも設計は必ず必要です。

設計と施工を行う会社の場合には、設計費を全体の工事請負金額の中にある程度経費として含まれるため、表面上は見えませんが、むしろ、会社が大きい分経費率も高くなることは当然ですよネ。

簡単にそれぞれの住宅づくりのメリットやリスクを説明しました。それぞれの特徴をよく理解して上で自分たちに適した住宅の作り方を選択しましょう。

建築をどこに依頼するかは、自分の家造りためのパートナー選びと考える方が良いと思います。資料だけでなく、実際に会って、話して、自分の信頼できるパートナーとなり得るかを判断することが賢明と思います。

 

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