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建築コストが不安?

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建築を検討するのは非常に楽しく、夢が膨らむのですが、最も悩ましいのが、建築コストです。

「コンパス建築工房で設計する家は、いくらで建築できるのですか?」という相談をよく受けます。

住宅メーカでは大半の部資材に単価設定がなされている為、
その金額も即時に提示されますが、
我々設計事務所の場合は、予算などを考慮しながら、
構造体から仕上げ材、建具一枚までもその形、性能、デザインなどを検討した上で、
オリジナルで設計、製作する為、提案する内容によってコストも大きく変わってきます。

建築主にとっては、提案と同時にそのコストが提示されないと、
「自分たちの希望する予算で、建築が実現可能かどうか?」の不安があります。

結論から申し上げますと、「希望する予算での建築は不可能ではありません」

当たり前の話ですが、建築のコストは「規模×グレード= 建築コスト」で決定されます。

従って「規模を小さくする」もしくは「グレードを下げる」と必ず予算には近づきます。
(ただし、「規模を小さくすることも、グレードを下げるのもダメという方は調整不可能です)

ここでは当社での予算の調整の仕方などについて説明いたします。

●建築の予算について

建築を希望する方には必ず予算があり、もちろん最初にそれも確認させていただきます。
ただ我々は工事を請け負わない為、予算については、その実現を約束できるものではありません。
工務店の見積もりを、建築主に代わってチェックする立場にあります。

我々のような設計事務所での業務は、建築主の要望を実現させる為に、
専門的な知識や経験からアドバイス、計画、デザインし、
それを工務店が見積もり、工事できる設計図面としてまとめます。

建築工事費は構造、規模、形状、仕上げや設備のグレードにより大きく異なり、
発注する建築会社によっても変わってきます。
工務店からの見積もり金額と、その項目を確認しながら、
その工事範囲や仕様・グレードを見直しながら、予算の調整をしていきます。

設計事務所は工事金額を約束する立場ではなく、
建築主の希望する建築を実現させる為の、
専門知識を持ったパートナーとご理解下さい。

●建築コストの調整について

 

計画段階のプランでは、主に形態・規模のみを提示するため、
建築の仕様グレードについては、その後の打合せ、実施設計により決定します。

通常我々では、希望するプランが決定しましたら、
まず概算見積もりの取れるまでの設計(構造計算、仕上げ、設備などの仕様グレードの設定)を進めます。
仕様やデザインにつきましては、要望をお聞きした上で、
当社が適切と判断する内容にてまとめ、
同時に予算調整のために「オプション(増減)項目」も作成いたします。

そして工務店からの「見積もり金額」および「オプション(増減)項目」による増減額を確認しながら、
その採否を検討いただき、予算の調整をします。

例えば「オプション(増減)項目」としましては、
構造やプランは大きく変更せずに

●工事規模・範囲の見直し
・予備室など当面は必要としない室は、将来工事とする、あるいは中止する

・外構工事(塀、門、デッキ、植栽など)を最少とする、または将来工事とする

・造り付け家具、収納などを少なくする、または市販品とする。

・屋上やバルコニーの使用をあきらめる

・床暖房、浴室暖房などの贅沢な設備をあきらめる

●グレードの見直し
・屋根や外壁の仕上げ材のグレードを見直す

・内部床や壁、建具の仕上げ材のグレードを見直す

・キッチン、浴室や洗面のサイズ、グレードを見直す

・大きな特注窓などを規格サイズとする。

・階段、手摺、ルーバーなど金物類のグレードを見直す

上記のような項目に対し、それぞれの費用の差額を確認しながら、
「この程度の差額であれば見直しを採用しない」
「こんなに違うのであれば、あきらめる」
などと、費用対効果により、その採否を決定していただきます。

●プランや構造の変更

どうしても「グレードはこれ以上下げられない」ということになれば、
「予算を上げる」または「規模を縮小し、プランや構造を変更する」必要が生じます。

実施設計が完了してから「規模の縮小、プランや構造を変更」は、
意匠設計、構造設計、設備設計などの図面・計算の変更作業が生じるため、
その変更に費用負担が生じます。

従って、実施設計に入る基本設計の段階で、
その目処を立てておく必要があるため、
当社では計画段階で建設会社で概算見積もりを取り、
その判断材料としていただいております。

●予算を優先する場合、
・できるだけシンプルに、コンパクトに造る。
→複雑に、大きくなれば、当然材料も手間もかかります。

・現在なくても支障のない空間や設備は、なし、あるいは将来工事とする。
→「必ず必要ではなく、あったほうが嬉しい」程度のものは、なくても大丈夫では?

・できるだけ合理的な素材や設備を選定する。
→安い材料も使い方で魅力ある空間が作れます。
→こだわる部分は、しっかりと永く愛着を持てるようにつくる。

などを心がけて、設計打合せを進める必要がありますネ。

その他
・狭小地や変形地での建築は効率の良い仕事が難しく、
手間や材料が余分にかかるため、どうしても割高となります。
・中庭型プランなどは自然採光、通風、プライバシーやセキュリティなどが確保しやすいなどの利点が多くありますが、
その分、外壁面積や中庭空間などが多く、実際に施工する工事面積は大きくなります。
・現在(2013年12月)、建築業界が忙しく、職人不足で、建築価格はかなり高騰気味にあります。

●計画・デザイン
建築するに当たり予算の実現は最も優先されることの1つですが、
我々設計者は、ただ予算のみを優先してしまうと、
より良くなるかもしれない提案やデザインなどが提示できなくなります。

結果、我々に設計を依頼いただく値打ちもなくなってしまうため、
当社では様々な提案やデザインは、提案としてさせていただいた上で、
その性能やコストを見比べながら、その採否をご検討いただくようにしています。

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