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最終講義

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私が月に一度中村昌生先生の講義を受けるようになって4年を超えた。長く続いたこの講座であるが、先生も80歳を超えられ、次回より京都工芸繊維大学の日向教授に引き継ぐこととなった。
中村昌生先生は言うまでもなく、和風建築、数奇屋、茶室の第一人者であり、私の大学恩師でもある。当時、私は真面目な学生ではなかった。若い頃は建築の新しさや可能性に魅力を感じ、民家、町家、数奇屋や茶室などは特段には気にも留めなかった。今でも和風建築に造詣が深いわけでもない。しかし、育った風土や文化か、DNAか、即ち日本人としての建築の空間体験や美意識の基本となるものであり、やはり和風が落着き、まったく飽きることのない、日本人としての感性の原点であることを実感している。
本日の最終講義は三条室町の法衣商、千吉商店(西村家)がきもの製造撤退を期に、2005年より西村家の居宅を整備し活用を開始した「ちおん舎」見学。
「ちおん舎」は、温故知新より「知」「温」を、また「千」「智」や「音」「恩」の意味も含み、我々が育まれてきた伝統をもう一度見直し、その智慧を現代の生活に活かすことと、和の文化を伝承することを志して、展示会や茶事など、様々な文化活動の情報発信拠点になることをめざしている。
見学・講義の後は、場所を移して先生を囲んで中華料理店での懇談を惜しんだ。高齢を迎えられた今も話は活き活きと面白く、回りで聞く人の笑顔を絶やさない。
長い間、ありがとうございました。
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