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村野藤吾「比燕荘」

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■090829
村野藤吾の住宅、中林邸(比燕荘)を見学する機会を得た。
村野の住宅建築として現存する貴重な作品だったが、維持管理などの問題から現所有者から土地を含め隣の京女が購入、そう遠くない時期に取り壊しが決まっているという。中林邸は、京都の百貨店「丸物」の経営者であった中林仁一郎の邸館として1941 年(昭和16)に建てられた。設計は村野藤吾、施工は清水組(現・清水建設)で、棟梁として若き日の中村外二が参与している。
すでに庭園が近々工事に入るらしく、その前に一目ということになった。手前の洋館と、奥には本格的な数寄屋造りという作りで、いたるところに村野らしいこだわりの細やかな仕掛けやデザインが散見された。
玄関廻りの大理石を多用した歴史様式から、ホールのモダンデザインを経て、私室群での純和風に至る流れは違和感なく統合されている。ここで用いられている建築材料はきわめて良質なものであり、それを生かす施工の技量もまた驚くべき水準にある。村野藤吾が戦前期に到達した住宅設計手法の総決算というべき作品といえる。
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