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酒心館本町店「酒菜ふくじゅ」完成

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本町駅前で進めていた居酒屋「ふくじゅ」が無事完成を迎え、8月29日のオープンに向け、本日は関係者によるプレオープンが催された。施主は、灘五郷の一つ御影郷の清酒「福寿」蔵元である神戸酒心館。日本酒の良さや楽しみ方を気軽に知ってもらいたいというコンセプトの下、蔵元直営の居酒屋として出店した。場所は大阪のビジネス中心地、本町駅に直結するビルの地下である。通勤目的で前を通る通行人の歩行速度は驚くほど早いため、思わず入って見たくなる、気軽に入れる店構えが必要と考えた。一合枡の格子壁からは店舗内部の雰囲気が伺え、間口を広く開放させた暖簾の出入り口からは足元から店の賑わいが感じられるようにした。暖簾をくぐると、ウェイティングを兼ねた立ち飲みコーナーで、テーブルには木桶を利用し、檜角材のベンチに軽く腰を預けることができる。
店内には酒蔵にちなんだ様々な古道具を配した。レジ台、カウンター足元は酒を搾るときの簾竹張り、大テーブルは酒を搾る酒槽(さかぶね)の側板、座布団は酒袋。その他様々な酒造りの道具も飾られている。
厨房レイアウトやビル設備との調整をした設備設計の共同社の佐多さん、厳しい予算、工期で工事を完成させた匠家具工芸の広瀬さんや協力業者の皆さん、ビル側との調整に骨を折っていただいたB工事のシミズ・ビルライフケア関西の和田さん、そして当社担当の山名さん、お疲れ様でした。
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                                       広瀬さんと佐多さん
■酒道具等の説明
・す竹・・・【レジ台・カウンター下】
槽の内側にはめ込むもので、酒袋のすべりをよくするとともに、搾出された酒が垂直方向に流れやすくための腰板状のもの。
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・杉玉・・・【レジ前天井】
別名酒林(さかばやし)。スギの葉(穂先)を集めてボール状にした造形物。日本酒の造り酒屋などの軒先に緑の杉玉を吊すことで、新酒が出来たことを知らせる役割を果たす。「搾りを始めました」という意味である。吊るされたばかりの杉玉はまだ蒼々としているが、やがて枯れて茶色がかってくる。この色の変化がまた人々に、新酒の熟成の具合を物語る今日では、酒屋の看板のように受け取られがちであるが、元々は酒の神様に感謝を捧げるものであったとされる。
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・コンプラ瓶・・・【レジ台奥飾り棚】
江戸時代、長崎出島からヨーロッパへ、日本酒や醤油をコンプラ瓶に入れて輸出していた。肉厚の磁器の徳利で、赤道直下をくぐり抜けて行くため、風味が変わらぬよう考えられていた。「JAPANSCHZAKI(ヤバンセ・サキー)」とはオランダ語で日本の酒の意味。
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・一合枡・・・【壁】
焼印は古い「酒」の文字二種と「福寿」。約1800個を丁寧に積み上げていただいた。
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・酒槽(さかぶね)・・・【大テーブル】
発酵を終えた醪(もろみ)を袋に詰め、それを積み重ね上から圧力をかけ、清酒と粕に分離する舟型の道具。
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・酒袋【座布団】
醪(もろみ)を入れて絞る袋。木綿の太糸を荒目に織った袋を夏季に渋引して使う。
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・仕込櫂(しこみがい)、酛卸櫂(もとおろしがい)・・・【左官壁左】
仕込櫂:酛半切で荒櫂(あらがい)するのに用いる。竹の弾力性を利用し、小気味よく相手の人とリズムを取りながら酛を撹拌する。
酛卸櫂:酛卸桶(もとおろしおけ)の酛を混ぜて、物料の溶解を促進させる。
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・文司(ぶんじ)・・・【左官壁右】
甑(こしき)から蒸米を取り出す時に使う。
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・えぶり・・・【テーブル席壁(右)】
甑(こしき)の中の浸漬米を平にならすのに使う。精米所で、糠の掻き集めにも使用する。
・手酌・・・【テーブル席壁(左)】
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・はぎぼうき・・・【カウンター壁】
桶内部の掃除に用いる。
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・かき桶・・・【木桶テーブルの中】
蒸した米を「甑桶」から取り出すために使う。
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・きつね桶・・・【木桶テーブルの中】
酒絞の際、酒袋に醪(もろみ)を入れるための小桶。口がきつねを連想させる。醪を三味線で汲んでこれに入れる。
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・さる・・・【木桶テーブルの中】
蒸米の時に、甑桶の底において蒸気を分散させるのに使う。
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