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知っているつもりで、知らない国産無垢乾燥材の話
住宅部会2月例会ではセミナーとして「知っているつもりで、知らない国産無垢乾燥材の話」を講師としてSSDプロジェクトという会社を招いて開催した。
SSDでは国産無垢材にこだわって、その乾燥方や品質表示、そして流通までを一気通貫で管理、提供してくれるため、私が現在進行中の別荘で採用するシステムである。
これからの住宅を考えるとき、ただ安くて手入れが楽なだけの家よりも、その家の作られ方や材料をよく理解した上で、永く愛着を持って付き合っていくことの出来る家作りが必要と考えている。
木構造材として最もよく流通する輸入材(ホワイトウッド、レッドウッドなど)は日本の多湿な気候では腐りやシロアリの食害等を受けやすい。また木材の乾燥については、一般的な高温式蒸気乾燥法では木材の細胞を破壊し、強度劣化を招くなどの問題があることもよく知られている。
SSDでは熊本産の球磨杉や桧(産地証明)を燻煙乾燥と遠赤外線により低温乾燥させることで強度や品質を確保し、さらに木材の一本一本を検査機にかけて、その強度や含水率を印字(グレーディング)し、材木問屋などを仲介せずに直接出荷してくれる。このように産地から加工や流通までを明確(トレーサビリティー)に理解することにより、安心な住まいづくりができ、その家への愛着も深まると考える。また将来の増改築などにも適正な判断が可能になり、さらには解体された単部材さえも再度利用(リユース)の可能性を残すことができる。地球の温暖化等を考えるとき、木を無垢のままで使用することは、二酸化炭素を固定させる上でも有効であり、最終的に燃料として廃棄する場合にも新たにCO2を増加させるものではない。
日本では森林が国土の67%を占めるにもかかわらず、現在の木材自給率は20%に満たない。輸入材の使用は、輸送エネルギーの消費、発展途上国の無秩序な伐採による環境破壊、輸入木材の耐久性能など様々な問題があるにも関わらず80%以上を輸入材に頼っていることになる。
現在、適切な森林経営がなされない為に、伐採後にも植林されずに放置され、山の荒廃が進んでいる。木は成長過程で炭素を吸着し、一定の年数を経過するとその量は減少するため、成熟した木を伐採し、新たに若木を育てる循環がCO2削減にも有効である。