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学食ビフォーアフター

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大阪信愛女学院の食堂をリフォーム。

大改造!!劇的ビフォーアフター「光の届かない学食」(2時間SP)が
2013年11月17日、放送されました。


大阪信愛女学院は、幼稚園から短大まであるカトリック系の、
約130年の歴史を持つ名門お嬢様学校。
今回は食堂を、より明るく楽しくなるように、
女学生たちと一緒に楽しくリフォームしました。


学生たちにとって、食事の時間はとっても大切な時間です。
ただ食事を取るだけでなく、友達との楽しい思い出を
たくさん作ってもらえる場所になるといいな、と思います。
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いよいよ着工!

天井板を撤去すると、高さが1m近くも高くなり、
杉板を型枠に使ったコンクリートスラブが露出してきました。

解体の片付けから、引越し、床清掃、椅子や机の解体、床塗装・・・
運動部のみなさんに、大活躍していただきました。


夏休みの間の工事のため、職人さんたちもお盆返上で突貫工事です。
本日は現場に、食物部の学生たちの手料理による差し入れをいただきました。
ラザニア、ピザ、ベーグル、デザート・・・プロ並みの出来栄え!
美味しく戴きました。ご馳走様でした。


さらに食後には茶道部による、立礼式お茶席にて薄茶を頂戴しました。
現場では強面のニッカ姿の職人さん達も、、、緊張した様子!!


美術部による壁画の制作。
材料はガラス瓶のカレットやステンドグラスの端材などの廃ガラス。

ガラスカレットは㈱タカハシ様よりご提供いただきました

廃ガラスによる大作の製作を、9分割で分担して制作します。
教室の片隅にはバンドエイドが、、、頑張ってください!


女学生とお父さん数組が、食堂の壁を左官材で塗り上げてくれました。
普段あまり一緒に何かする機会が少ない父娘にとっての協働、
汗だく塗料だらけになっていましたが、
特にお父さんにとっては、かなり楽しかったようです。
各父娘の個性あふれる塗り壁、予想以上の出来栄えです。
おつかれさまでした。(^O^)/


構造用合板による樹木型パーティション。
地元の間伐材で製造された構造用合板を、元の樹木型に切り抜きました。
約4m、立派な木に復元しました。


テーブルもまた、近畿地方産の桧の間伐材を使用した構造用合板によるもの。


同じく構造用合板によるビーンズ型大テーブルです。
十数人が一緒に車座にテーブルを囲めます。

これらの合板は信愛OGの林ベニヤ様よりご提供いただきました。


余っていた学習机の天板を再利用して、メニューなどのアイコン(サイン)に。
汚れた古い合板の天板も、削ると真新しい木目が現れ、
さらにもう一段アイコンを彫り込むと、新たな層の木目が現れます。


あとは壁に埋め込んだレールに引っ掛けるだけ。
メニューの更新も簡単です。


テーブルやカウンターに使用するメラミン化粧板の製造工場を
番組スタッフと共に視察しました。


やっと完成。
テレビスタッフ、完成後撮影に奮闘中!
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食堂のリフォームを終えて
「大改造!!劇的ビフォーアフター」の匠としては5回目の出演でしたが、
今回は同番組でも初めての学校、学食のリフォームでした。

はっきり言って、とりわけ大きな問題もなく、
住宅と違って一般家庭の身近な問題もありません。
テレビ番組としては困っている問題点を改善することは当然ですが、
ただ食堂をキレイにカッコ良くするだけでは・・・

と心配していましたが、明るく元気で、可愛い女子学生の皆様に助けられ、
終わってみると結局、私にとっても非常に楽しく、思い出深い仕事になりました。

完成のセレモニーでは、番組の要請で軽音楽部の女子学生と
私の所属する親父バンド「Osaka華麗衆」とのセッションも披露させていただきました。
女子高生とオヤジたち、なかなか見ることのできない組み合わせです。
が、放送後・・私の娘達から「調子に乗り過ぎ!」と大ブーイングを受けました。
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今回の改修のテーマとしましては、大きくは三つです。

①機能的な動線計画。
東入口に動線が集中し混乱していたため、
動線を西から東へと一方通行に整理して、
人がスムーズに流れるようにしました。

②効率のよい設備計画と省エネ改修。
食堂や厨房の換気や空調のシステムを見直し、
照明も効率の良いLED器具を採用するなど、
明るく快適な環境を確保しながら省エネを図りました。

③個性にあわせた心地よい居場所をつくる。
食堂は空腹を満たすだけでなく、
友だちとの楽しい時間を共有する大切なコミュニケーションの場所です。

グループでは車座となることによって、みんなの顔が見え会話が弾みます。
一人や少人数では電車の席でも端から埋まるように、
壁際や樹の下、あるいはカウンターのような拠り所のある場所が落ち着きます。
また女性的な可愛さも必要ですし、幼稚園から短大生、父兄にまで、
それぞれの年代にとって魅力的な場所でなければなりません。
デザイン的には、明るく開放的な外部のイメージを散りばめました。


【空】天井を撤去して高さを確保し、
照明の反射板を兼ねる雲型の板を吊り下げました。
梁部分にはカガミを貼って、広がりや明るさを演出しました。
この写真の雲、半分はカガミに写った虚像です!


【太陽】食堂中央の壁、マリア様のモザイク画の背面には、美術部の皆様により
素晴らしいモザイク画を制作いただきました。

仮にプロの作家に製作依頼すれば、数百万以上は必要でしょう!
完成、設置されたのが、ちょうど私の誕生日。
最高のプレゼントをいただきました。


【樹木】視線を遮ることなく柔らかく通路と区画し、
一部では、帽子や鞄のフックも兼ねています。

 


【街】ローパーティションは建物のシルエットです。
小窓の鏡に顔を移すことができます。女性ですから、、、

 

空間的には、食堂を取り囲むパーティションの曇りガラスを
透明ガラスとすることによりホールや外部にまで視線を開放させ、
内外にまたがる五つのコーナーを設けました。

 


【南東】内外にまたがり、一段高くなったデッキテラス席。


【北東】木製ルーバーに囲まれた内側は、ホール側は売店。

食堂側は化粧コーナー。


【北西】給食カート置場を隔離確保しました。
まるで丸太を積んであるかのように、、、
今度はこちらの西側が食堂入口になります。

構造用合板を製造する過程で生じる芯材。
丸太の小口に描かれたみんなの笑顔が、お迎えしてくれます。


【南西】楕円形のコーナーは、外部にまでつながり、
自販機コーナー前のベンチ席と一体となります。


【南西外部】最も明るく、気持ちの良いオープンテラスと大樹を囲むベンチ。
気候のいい季節は特等席です。

今回、皆様のご協力のおかげで、とてもいい食堂になったと思っています。
床掃除、テーブルや椅子、壁塗り、モザイク画、サイン、丸太の似顔絵など、
学生や保護者の皆様にたくさん手伝っていただきました。


丸椅子やテーブルの脚は一旦解体した後、焼付け塗装、
クッションは低反発の分厚いものを3層に重ね、色々な布でくるみました。

 

 


倉庫に余っていた学習椅子も塗装替えすると・・・
とても可愛く、素敵な椅子になりました。

新しく買った方が手軽で安いモノもあるかもしれませんが、
今あるモノを大切に使い切る意味からも、できるだけ再利用しました。
簡単に手に入れるのではなく、手間暇を掛けるからこそ愛着も芽生え、
大切に使い、想い出も残るのだと思います。

人も同様、じっくり付き合ってこそ、良いところも悪いところも理解しあえる親友ができます。
私にとっても学生時代の友人は今も宝物です。
この食堂で、学生のみなさまが友達と楽しい時間を過ごし、
素敵な想い出をたくさん作って頂けることを願っています。


所ジョージさんのサイン 1


所ジョージさんのサイン 2


ゲスト、市村正親さんのサイン


ゲスト、芹那さんのサイン


江口ともみさんのサイン

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