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愛着を持って、古い建物を残すという選択
今春に京都伏見区で町家をリフォームしました。
(プロジェクトはこちらからご覧いただけます→京町家の再生)
もともと相談に来られた際には、
- 築100年以上で、老朽化が激しい
- 特別に立派な屋敷というわけでもないが、祖父の時代からの想い出がある。
ということで、建替えも考慮されてのご相談でした。
このように古い民家の改修では、単に表面的なリフォームを施したケースもよく見かけますが、
当社では今後長く安心して住むために、まず十分な構造補強や断熱など、
後では手を加え難い部分までを全面的に改修することを薦めています。
場合によっては、リフォームの費用が「安い家を新築できる程度の費用」になってしまうこともあります。
このような事前説明や相談をした場合、やはり既存建物を解体して新築設計をご希望される方も多いのですが、
今回のお施主様は熟慮の末、コストをかけてでも祖父からの想い出を残すことを優先し、
既存建物を新築同等の住宅の基本性能を確保した上で、再生するという選択をされました。
最近では、コストについて「新築ほどもかかる」と考えるより、「新築程度の費用で残すことができるんだ!」と考えています。
その結果、出来る建物は「合理的で安い建物」ではなく、「想い出深い立派な家」としてこれからも残せます。
ただの中古住宅ではなく、その古さ歴史の価値を活かしたビンテージ住宅です。
経済の成熟した日本においては、合理性というモノサシだけでなく、愛着や家族の思い出といった
人間らしい別のモノサシを併せ持つと、毎日の生活がもっと豊かになるかもしれませんね。
これからも、さらに永く愛着を持って住んでいただきたいと思います。
【改修前】
【改修後】
(その他の写真はこちらからご覧いただけます→京町家の再生)