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松の無垢フローリング

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コンパス建築工房で提案している設計のアイデアやこだわりのディテールについてご紹介しています。

松の幅広無垢フローリング 「超高層のスローライフ2007」

 

タワーマンションというと、都会派・最先端、というイメージが強いかと思いますが、「高層マンションでも出来るスローライフ」をコンセプトにリフォームしました。居心地の良い、あたたかい空間をつくるために、自然素材を多く取り入れています。その中で、リビング全体に使用した無垢フローリングの特徴や選んだ理由をご紹介します(*^_^*)

 

1.フローリングの種類

フローリングには単層フローリング複合フローリングがあります。

単層フローリングというのが天然の木材の一枚もので、無垢フローリングと呼ばれるものです。そして、複合フローリングは合板等の板材を重ねて厚みを出し、表面にだけ天然材の板を貼ったものです。単層フローリングは一枚の木で出来ているので、傷や凹みが出来ても表面をサンドペーパーで削って補修することもできたり、使い込むことによって味がでてきたりするので長い目で見た場合メリットがあるといえます。

一般的に、複合フローリングは完成後のメンテナンスのしやすさや生産性を重視した価格が安い材料で、単層フローリングは質感を重視した高価な材料となります。

2.木材の種類

床は、室内で生活する人の視野に入る面積が広く、インテリア全体を考える上でもメインのカラーになるなど重要になります。今回は、肌触りが良く、見た目もほっとするような松の無垢板を選びました。フランスのボルドー地方に生育するもので、選んでいた時にたまたま大きな床材が安価で入手出来たことも理由となりました!

普段使用する上で一番影響があるのがフローリングの硬さですが、松材は、杉や桧などの針葉樹のなかでは比較的硬くキズがつきにくい素材です。また木目の表情が豊かなことも特徴にあげられます。

 

3.厚みと幅

木目が美しい松で、厚みが約3cmもあるものを使用しています。また、幅は約28cm、長さも2mあり、通常のフローリングよりもかなり大きなものになります。

 

4.素材の特徴を生かす

当然ですが、自然素材の無垢材には色ムラや節なども出てきます。また、時間とともに色変わりやソリなどが生じることもあります。そのため、住宅メーカーなどではクレーム等をできるだけ避けるためにこのような素材の使用を控えます。

ただ、本当にこれらは欠点や不良品なのでしょうか?経年変化やそれぞれが持つ色合いや木目の特徴などを排除するとどれも均質で特徴のない素材になり、いわゆる量産品になってしまいます。これらをあくまで”自然素材ならでは”の個性と考えると、空間も同じものは二つとないオリジナルのものが仕上がるのです。

 

5.塗料について

塗装の主な役割としては、材料の表面を傷やシミなどから保護することです。フローリングの塗装の種類は、大きく分けて2種類あり、一つがコーティング系塗装、そしてもう一つが浸透系塗料です。コーティング系塗装は、乾いた時に材木の表面に塗膜をつくるため、つるっとした質感になります。それに対して、浸透系塗装は、塗料を木材に染みこませて保護するタイプで、塗膜を形成しないため、仕上がりにはツヤ感がなく、肌触りも木そのものの質感を残すことができます。

今回は、松材の上からキャピタルペイントのワンダー水性1液型クリアという浸透系塗料の水性塗料を採用しています。 水性塗料とは、油性塗料に比べて臭気もほとんどなく、化学物質を全く含まない自然塗料です。浸透性塗料のため、塗装をしていないような質感で、木本来の色や木目が残る仕上がりになりました。

6.防音対策

マ ンションの場合、フローリング選びにはデザインだけでなく、下階への防音対策を考慮する必要があります。一般的にはカーペットや遮音フローリングなどの材 料に限定されてしまいますが、今回はリフォーム前に使用していた遮音フローリングの上に、無垢の材料を増し貼りする工法を用いることで対処しました。(も ともと遮音フローリングが無かった部分には新設しました。)

 

7.コストを取るか?長く続く満足度を取るか?

合板に比べて、無垢の材料(特に幅の広い長尺のフローリング材)は一本の丸太から限られた量しか生産できないので価格が割高になります。

そ れでも、フローリングは天井や壁と違い、直に肌に触れる部分です。プリントや合板を使うと、本物の木目の表情、手触りは決して得ることはできません。 多少費用は割高であっても、使ううちに味が出るような材料を使うことで、経年変化を楽しみながら永く使い切ることができます。

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